政事は豆腐の箱の如しである、箱が歪めば豆腐も歪む。(二宮尊徳:江戸時代後期の経世家、農政家、思想家)

豆腐は一見仏頂面だが、己一人でも冷や奴や湯豆腐のように存在感を示す一方で、肉・魚介・野菜等とも協調して相手になじみながらも、自分らしさを失わない。ふにゃふにゃしているが実を崩さないだけのしまりが有る。煮ても焼いても食えぬどころか、煮てよし焼いてよく、汁でもあんかけでもそれぞれの味を出す。強い者が幅をきかす競争社会には豆腐の如き柔らかさ自在さは貴重だ。人生を、豆腐の如くと語る。【俳人・荻原井泉水(1976年没)の随筆「豆腐」から】

処世不必邀功、無過便是功。(洪応明:中国明代の著作家、『菜根譚-前集28項から』)

『世に処(しょ)しては、必(かなら)ずしも功(こう)を邀(もと)めずして、過(あやま)ちなきは便(すなわ)ち是れ功なりとす』。たいした過失もなく普通に一生を暮らせれば、何事もなかった日こそ最上だと。秋晴れの日の散歩で思う。

今週の名言・一言・つぶやき
「人生は、何も成し遂げようとしない者にとっては長すぎるが、何かを成し遂げようとする者にとっては短すぎる。(ながれおとや:なぞなぞ作家、言葉遊び研究家)」

【短い】異例の短期決戦となった今回の衆議院選挙。解散から選挙まで17日間と戦後最も短い総選挙だとか。ところで、鉄道の「日本一短い駅間距離」は、200mで所要時間は45秒だとか。乗車直後「次は佐世保中央」のアナウンス、そして間もなく到着の「佐世保中央」のアナウンスだとか。鉄道は、長崎県松浦鉄道の佐世保中央駅~中佐世保駅。一度乗ってみたい気もする

今週の名言・一言・つぶやき
「芸には人間性がそのまま出る。芸の勝負はつまるところ人間性の勝負だと思う(柳家小三治:落語家)」

【合掌】人間国宝の落語家 柳家小三治さんが亡くなった。9年前に高座を聴いたことがある。師匠の高座は、静かにさりげなく始まった。誰かが言っていた。彼が人間国宝たるゆえんは、その卓越した空間掌握能力である。出ばやしが鳴った瞬間から、客席の空気は師匠のものになる。座布団に静かに座り、傍らに置かれた湯飲みでお茶をすすりながら、どこかぶっきらぼうにまくらを話す。観客はいつしか、師匠の世界に吸い込まれていった。「落語家が一人いなくなると、その人の持っていた小宇宙が、消滅してしまう」と言う人がいたが……。

今週の名言・一言・つぶやき
「芸術とは感情にほかならない。(ロダン:彫刻家)」

芸術鑑賞してもお腹が満たされるわけではない。しかし、芸術作品を鑑賞するとなんとなく心を満たしてくれる。夕日を見たり、絵を見たり、音楽鑑賞をして、美しいと感じ、目や耳で受けた刺激が美しいと感じるともっと見たい聞きたいと心地よい感情が湧いてくる。こうした脳内の美の伝達がやる気脳を育てるのだとか。芸術鑑賞は脳の健康にもよいのだそうだ。今秋真っ盛り。芸術・食欲・読書・スポーツの秋、あなたはどの秋が好きですか。亡き妻は紅葉と食欲の秋が好きだった。

今週の名言・一言・つぶやき
「雲は空の想像力である。(テリ・ギルメット:米国-作家)」

久しぶりに鰯雲を見た。正岡子規は、四季折々の雲を「春雲は絮(わた)のごとく、夏雲は岩のごとく、秋雲は砂のごとく、冬雲は鉛のごとく」と言表した。夏場に現れる巨大な入道雲は岩、秋に浮かぶ美しいうろこ雲は砂に例えた。砂のごとき秋雲は小さな無数の雲が薄く広がり、砂丘にできる風紋のように見えるいわし雲。緊急事態宣言解除後の散歩に楽しみが加わった。

今週の名言・一言・つぶやき
「新鮮だから旨いと思っているバカがいます。新鮮というのは新しいか古いかであって、旨いかまずいかじゃありません。(永六輔:タレント・放送作家、2016年没)」

火野正平がTV番組で「バッカじゃないの」と若者の男女に向かって言った。このバカの部分だけを切り取るとセクハラ発言だ。番組”にっぽん縦断 こころ旅(火野正平の自転車によるNHKのTV番組)”の岐阜県養老編でのこと。火野さんが旅の途中で、若者カップルに出会う。名古屋を出発、自転車で40分掛け6㎞の坂道を上ってきた若者達。これから三重県、滋賀県、養老を廻って名古屋に帰るという。72歳の火野自身は下り坂だから自転車でこれから養老に向かえるが、若者達の来た登り坂なら俺だったら俺は4日かかると、若者に「バッカじゃない」と笑顔で。火野さん情のこもった新鮮で旨いバカ発言だった。

今週の名言・一言・つぶやき
「私の人生のテーマは「悔いのない人生」です。やらずに後悔するくらいなら、やってみて失敗した方が断然良い。むしろ失敗をたくさんして、それを糧に成長してやろうという発想をずっと持っています。(似鳥昭雄:(株)ニトリ創業者、ニトリHD会長)」

コロナ禍で34期連続増収増益を実現している企業がある。先週紹介した家具小売業大手の「ニトリ」だ。似鳥会長は「給与だけでなく、社員への教育にもドンドンおカネをかけています。上場会社の社員への教育投資は、1人年間で5万円弱だとされていますが、ウチはその5倍以上、年間で26万円ほど投じています。人材が命であり、今後も教育投資におカネを惜しむつもりはありません」と。

今週の名言・一言・つぶやき
「人間は、現状を否定することからのみ、成長できます。(似鳥昭雄:実業家、ニトリホールディングス会長)」

「お、ねだん以上」で知られ、家具・インテリア用品販売のニトリの創業者似鳥氏は、小学校の頃自分の名前を漢字で書けなかったという。営業も接客も整理整頓も全部苦手。「注意力が散漫なんで、人の言っていることをずっと聞けないんです。違うことを考えちゃうとか」。実は数年前、発達障害だということが分かったという。苦手を抱えながら、それでも、一代で売上高7千億円の企業を築き上げた。妻は「あなたは誰でもやれるようなことはやれないで、誰もやらないことがやれる」と。毎年9月は障害者雇用支援月間だがニトリは障害者雇用に積極的だとか。

今週の名言・一言・つぶやき
「有情活理(根岸秋男:明治安田生命保険社長)」

明治安田生命保険-根岸社長の座右の銘は「有情活理」。「どんなに理屈が正しくても情が無ければ人は動きません。情があることで理は活きるのです。日本社会では “情” は絶対に大切。でも “情” だけだと、なれあいや惰性になってしまう。継続的な発展をするには “理” が必要です」と。自民党総裁選挙で党員や議員は、情と理どちらに重きを置くのだろうか。