尊厳死

貴方ならどう答えますか

 もし医師から、「もうお父さんの回復見込はないが、植物人間状態で機械的延命措置を望みますか?」と問われた場合どう答えますか。

 子供さん自身が自分の死を迎えるような年齢になった時には、植物状態での延命は望まないと希望していても、親の意思を確認していなければ「親の延命は望みません」と子供の立場でいえるでしょうか。
 もちろん、植物状態でも、生きていて欲しいと願う子供さんは沢山いるでしょう。
 しかし、もし貴方が尊厳死を望み、延命措置は望まないと願うのれあれば、貴方の意思を子供さんに伝え「尊厳死宣言公正証書」で残しておくことをお勧めします。
 仮に、子供たちや親戚間で意見の食い違いがあっても、「尊厳死宣言公正証書」があれば、親戚や子供同士での言い争いは防止できます。

 尊厳死とは

 「尊厳死」とは 「回復の見込みのない末期状態の患者に対して、生命維持治療を差し控え又は中止し、人間としての尊厳を保たせつつ、死を迎えさせることをいう。」と解されて医師は、患者が生きている限り最後まで治療を施すことに全力を尽くしています。

 しかし、医学の進歩により、患者が植物状態でも、単に延命を図る目的だけの治療が、果たして患者の思いに叶っているのか、むしろ患者の尊厳を害しているのではないかという問題認識から、患者本人の意思、すなわち、患者の自己決定権を尊重するという考えが重視されるようになってきました。

 最近は、医師も、尊厳死の考え方を積極的に容認するようになり、過剰な末期治療を施されることによって近親者に物心両面から多大な負担を強いるのではないかという懸念から、自らの考えで尊厳死に関する「尊厳死宣言公正証書」を作成する人がいます。

 「尊厳死宣言公正証書」とは、本人が尊厳死を望み、延命措置は差し控える等の宣言を公正証書にするというものです。

 ところで、尊厳死宣言あても、医療現場では従わなければならないとまでは未だ考えられていないこと、治療義務がない過剰な延命治療に当たるか否かは医学的判断によらざるを得ない面があることなどから、尊厳死宣言公正証書を作成した場合にも、必ず尊厳死が実現するとは限りません。
 しかし、日本尊厳死協会によれば、医師の尊厳死許容率は、平成16年は95.8%に及び医療現場でも、尊厳死を容認している思われます。  

 いずれにしろ、尊厳死を迎える状況になる以前に、担当医師などに「尊厳死宣言公正証書」を示す必要がありますので、その意思を子供等に伝え、子供にも公証役場で立会人なることをお勧めいたします。