「”子育ては動物でもするが、親の面倒を看るのは人間だけ”と言われる。つまりケアにこそ人間の本質がある。動物は自立できないと死ぬだけ。でも人間の社会は老人を支えるしくみがある。老いをどう生きて行くのかこそ人間の証明でもある。医療は直すための知識や技術を使う。介護は、この人と一緒に暮らすために知識や技術を使うのだ。介護者は考える杖だ。”人間は考える葦だ”と言ったのはパスカル。介護者は老人にとっての手すりと杖。でも単なる杖じゃない。考え行動する杖だ。介護職は、自分の個性や特技、ときには性別までを武器にできる仕事。そこの介護の面白さがある」と三好さんは言う。
【格好いい人】1936年生まれ、50年以上映像表現の世界で活動。88歳とは思えない鋭い感性で、今なお、第一線で活躍する現役の写真家。仕事仲間は口を揃えて言う。背筋はしゃんと伸び、決して多くを語るわけではないが口調は滑らか。カメラを持つとその動きは俊敏でしなやか。被写体を見据え、シャッターチャンスを狙う、仕事仲間は彼の年齢を意識することはないと。彼は、写真家に必要不可欠な能力は、動体視力とそこに反応する筋肉だと。そのため、ジム通い20年。ジムのトレーナーは、「せいぜい40代にしか見えない、現役アスリート以上の動体視力と反応力で驚異の瞬発力を保っている」と。「僕は、いい写真を撮りたいから、そのための肉体を維持したいんです。年齢を言い訳にするなんて、カッコ悪いじゃないですか。年を取ったら衰えるのが当たり前なんて、僕から見たら甘えにすぎない」「太平洋の真ん中からでも俺だけは泳いで帰る」と。
先週に続き石井さんの「上手に齢をとる極意」①嘆くより忙しく動く。②苦労のない人生はつまらない。③先の愉しみが張り合いになる。④機嫌良くは自分次第。(有難い人生にもなるし、つまらない人生にもなる。)「私らしく生きる五か条」①自分を丸ごと好きになる。②自分のテンポを守る。③一人時間も大切。④口癖は上等上等。⑤何気ないことを愛おしむ。また彼女は愛用の鍬を持ち畑仕事をしているが大事にしている言葉は「さびない鍬でありたい」と。
冒険家で90歳の三浦雄一郎さんが先月富士山への登頂を果たした。現在下半身に麻痺が残っている中、自力歩行だけではなく、ときには車イスも使いスキー学校の関係者や家族らに支えられながら登頂した。山頂では、彼が名誉校長を務めている「クラーク記念国際高校」の生徒等も出迎えたというが、その高校の校歌「はじまりの日に(高石ともや:作詞・作曲)」の一節には『なくしたものを数えるより いまある力を寄せ集めて 歩き出す それが自由 それが自由 私の道』だとか。下山後彼は新たな目標に「自分の脚で富士山に登りたい」と強い思いを語ったという。
【暑中見舞い】100歳を超えても現役として墨による抽象作品を描き、新しい発見に挑み続けた人だった。類まれな感性でつづられた随筆は人気が高く、彼女の消夏法は「からり、さらり、するり、きりり、ぴりりの五つの形容詞のつくたべもの」を勧めた。からりとした揚げ物や、するりと入る冷たい麺、ぴりりとした薬味…。食欲がうせる日も、こうした”りの字”がつく一品で夏バテをしのぐという。連日の猛暑日、今日は、するり、ぴりりの冷麺を食したい。暑中お見舞い申し上げます。
先週につづいて古田氏の言葉から「皆、人間は必ず死ぬということに気づかないんですよ。悠久な宇宙の歴史の中で120年生きようが、1日生きようが、それは誤差です。重要なのは何をして、何を残すかなんです。「明日これをやろう」と思っている人には明日は来ない。人に褒められたい、嫌われたくないと考えるよりも、本当の自分の心の声を聞いて、この世にどれだけのものを残せるかに時間を使うべきだと思います」と。
昨日は敬老の日、65歳以上の高齢者の人口は3627万人、総人口に占める割合(高齢化率)は29.1%。100歳以上の高齢者が9万人を超え52年連続増の過去最多とのニュース。また、働く高齢者(65~69歳)は「2人に1人」の50.3%だとか。なかでも現役国内最高齢ピアニストの室井摩耶子さんは101歳。そして、箱石シツエさんは105歳の現役の理容師だ。22歳で開業し、現在栃木県那珂川町で営業中、今は予約のみの対応だが県外からのお客もいるとか。彼女は「世界一高齢の理容師」でギネス入りが目標だとか。頑張れ老人の箱石シツエさん。
アップル社は81歳でiPhoneアプリを開発した世界最高齢のプログラマーと紹介する。面白そうとパソコンに触れ、やがてプログラミングを学び、2017年独自にシニア向けスマホアプリゲームを開発。その後、数々の政府主催会議構成員を務め、現在は、岸田首相主催・デジタル田園都市国家構想実現会議構成員。「81歳で初めてゲームアプリを作ったら国連でスピーチをすることになり86歳でデジタル庁社会構成会議構成員なったり、バットを振ったらあた当たちゃった。自分でもびくり、人生は本当に分からない。自分の未来にふたをしないこと。何歳からでも人は変わることが出来るから」と。
海洋冒険家の堀江謙一さんが、ヨットで世界最高齢となる単独無寄港の太平洋横断に成功、世界最高齢での偉業を達成。「精神と肉体は完全燃焼しましたが、青春まっただ中でこれからも頑張ります」と。今後の目標について「若輩ではございますが、これからも大器晩成を目指して頑張ります」とおどけて見せた。堀江さんは、まさに青春と年齢は関係ないことをあらためて教えてくれた。
【高貴高齢者】「プロフェッショナル仕事の流儀”餅ばあちゃんの物語”(NHK:6月2日放映)」での桑田ミサオさん。艶々肌にキラキラ輝く瞳が印象的、とても93歳とはおもえない女性だ。1927年青森県生まれ。60歳から餅作りを始め、75歳で「笹餅製造」起業。たった一人で30年以上、年間5万個の笹餅を作り続ける。笹の葉取りに山へ自転車で、材料の小豆から全て手作り、絶品の笹餅は評判だ。父は早死にし彼女の母が4人兄妹を育てた。「十本の指は、黄金の山だ。この指さえ動かしていれば、食べることに困らない。だから作れるものは何でも覚えておきなさい」と郷土料理・裁縫・編み物などを教えたという。著書に「おかげさまで、注文の多い笹餅屋です」がある。