日本陸上界に立ちはだかった10秒の壁。100m陸上で人類が初めて電気計時で9秒台に突入したのは、1968年にジム・ハインズ(米)が記録した9秒95で、それに遅れること49年。ようやく日本選手が10秒の壁を破って、9.98秒の日本新記録を達成したのが、東洋大の桐生祥秀さん。世界で126番目、歴代99位となった。人間のまばたきの速度は、0.1秒から0.2秒程度だそうだ。それと比べると、0.01秒がどれほど短いかよく分かる。そのほんのわずかな時間を縮めるための練習の日々があった。彼は「これがスタート」だと、目標はあくまで2020年東京五輪だと。彼にパッとまた新しい世界が広がった