シンガーソングライター、作詞・作曲・女優等で活躍する加藤登紀子さんは「リラックスしていないと、集中力が働かない。不必要な緊張感が思考力を低下させている。この国の大きな欠陥。過剰な監視や自粛をやめて、大きな深呼吸を!」と。
メジャーでMVPを受賞した大谷さんを育てた佐々木洋監督。「おまえは運がいい」と言われ続けてきた。「菊池雄星を獲得できて運がいい」「棚ぼたで選抜(春の甲子園)に出て準優勝した」。そう言われて以前はムッとした。しかし考えが変わった。「運は運を掴むために自分をコントロールしている人の下にしか来ない」と対談で語る。自分の何をコントロールしているか?。「四つある。言葉、友人など一緒に居る人、態度や身だしなみ、それから感謝と謙虚さ」。大谷翔平選手もその薫陶を受けた一人。高校1年時には目標達成シートを作り、目標を明確化して達成のため必要な要素を整理した。体力面や技術面のほか「運」の欄にはあいさつやごみ拾いも記す。渡米後も継続し、球場内のごみを拾う仕草は米国人にも好感を与えた。多くの専門家が二刀流は不可能と言った大谷さんを育てた。
今回の衆院選では与野党を問わず現金給付策公約の「バラマキ合戦」となった。限られたお金をどこに配るべきかの議論がなく、「広く薄く」という流れになった。経営学者のドラッカー(2005年没)は、『ばらまき国家は自由社会の基盤を侵食する。国民の代表たるものが、票を買うために特定の利益集団を豊かにし、国民を丸裸にする。これは市民のコンセプトの否定である』と。現金給付は、対象が広いほど、景気浮揚の費用対効果も下がるとされるが、政治家に戦う天使はいるのだろうか。
豆腐は一見仏頂面だが、己一人でも冷や奴や湯豆腐のように存在感を示す一方で、肉・魚介・野菜等とも協調して相手になじみながらも、自分らしさを失わない。ふにゃふにゃしているが実を崩さないだけのしまりが有る。煮ても焼いても食えぬどころか、煮てよし焼いてよく、汁でもあんかけでもそれぞれの味を出す。強い者が幅をきかす競争社会には豆腐の如き柔らかさ自在さは貴重だ。人生を、豆腐の如くと語る。【俳人・荻原井泉水(1976年没)の随筆「豆腐」から】
『世に処(しょ)しては、必(かなら)ずしも功(こう)を邀(もと)めずして、過(あやま)ちなきは便(すなわ)ち是れ功なりとす』。たいした過失もなく普通に一生を暮らせれば、何事もなかった日こそ最上だと。秋晴れの日の散歩で思う。