森敦は明治45年長崎で生まれた。旧制一高を中退し横光利一に師事。昭和9年22歳の時、処女作「酩酊船」を新聞連載し注目を集めた。しかしその後中央の文壇を離れ、10年働いては10年自由な放浪をするといった生活を繰り返えす。光学機械工場、ダム建設現場、印刷工場での経験と思索が独特の森文学を生み出していく。代表作「月山」は、昭和26年山形県朝日村(現在の鶴岡市)の注連寺に滞在した時の体験をもとにした小説である。昭和49年に発表され芥川賞受賞作となる。森敦62歳だった。異色の職歴と放浪の作家・森敦の独特な死生観、人生観が語られる。