先週に続いて池谷裕二博士の言から、博士は無駄について次のように述べている。◆何かを進めるときって、ストッパーをはずす方法と、前に進む力を伸ばす方法との二種類がありますね。◆人間の体を見ているとおもしろいんですけど、ブドウ糖もそうやってつくられているんです。眠っている時には身体が動かないから、エネルギーをあまり使っていない。だったら、ブドウ糖をつくらなければいいのに、絶えずブドウ糖を10個つくって10個壊したりしている。◆これはムダのように思えるんですけど、急にブドウ糖の要る時には効きます。必要な時には10個つくるところを20個に増やし、10個壊すところを5個壊すとしますよね。そうすると20個マ年イナス5個で、差し引き15個も増やせる。◆ストッパーを半分にしただけだし、つくるほうもいつもの二倍つくるだけですから、ゼロだったところから15個つくるよりも、ずっと簡単にエネルギーを埋めるのです。ふだん脳がムダをしているのには、そういう意味もありますよ。◆一見無駄な活動が、実は「いざ」という時を見据えると無駄じゃないという、お話。